中小企業の人事評価

社員がみるみる伸びる仕組みのつくり方、運用のしかた

評価制度の運用を阻害するトラブル

評価制度の運用を阻害するトラブル

評価制度の運用を阻害するトラブル

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起こりがちなトラブルを知って、先手を打っておきます。

●通常業務が忙しすぎて、評価ができない場合

これまでで、運用の手順と進め方を解説してきましたが、しかし、なかには、この運用までいきつかない会社があります。

せっかく手間をかけてつくってきた制度なのに、無駄にしないために、あらかじめ起こりうるトラブルを知っておけば、先手を打って対策を講じることができます。

運用がストップしてしまう要因は大きく3つあります。

それは、①忙しすぎて評価なんかできないという場合です。

例えば、ある社長は、簡単にいうと、営業担当者が「忙しすぎて、評価どころではない」というのです。

「社長は業績と評価とどっちが大事なんですか、こんなことに時間をかけていたら社長の求める高い数値目標なんて、到底達成するのは無理です」と言われ、社長は、業績を上げてもらわないと困ると思い、導入後、1年半も休止状態としてしまっていたのです。

このようなケースがかなりあると聞いています。

しかしこれは、人事評価制度の在り方の基本的目標を社員どころか社長まで完全に理解していない場合に起こるのです。

これは、トライアルを何回か行なっていれば、営業担当者の声と会社が求めるレベルのすり合わせをして評価方法や手順を工夫するなどの対策ができていたはずです。

なぜこのような状況になってしまうのかというと、一つは、これまでに評価を経験したことがないこと。

もう一つは、評価の重要性を理解していないことです。

人事評価制度をうまく運用させていくには、評価者全員にその重要性を理解して評価に取り組んでもらう必要があるのです。

この重要性が本当の意味で理解できていないから、忙しい時は評価以外の業務を優先させてしまうために、どうしても評価に本気で取り組まない人が出てくるのです。

“評価者が評価の重要性と会社の中での位置づけを本当に理解していない”

これが一つの大きな理由です。

特に、30人未満の中小企業の社員は、評価経験がゼロに近い方がほとんどです。

例えば、中途で同業種の経験のある社員を採用したとします。

いくら経験者といえども、全く教えることなく成果を上げてもらうのは無理でしょう。

会社の理念や戦略、業務の流れや主な取引先、書類などの書式の使用方法など、一通りのことを教え、しばらチェックしながら指導をするはずです。

ところが、人事評価制度については、制度ができたら一度説明会をし、簡単な手順書を渡すだけで、あとは本人に任せてしまうのです。

しかし、本人にとっては初めて経験することばかりです。

細かく指導してもらったわけではないので、当然、最初から満足いく形でやられるわけはないのです。

これが大きな原因なのです。

“経験したことがない仕事の進め方を満足に教えもしないで任せてしまう”、ということにあります。

●評価結果のバラツキが修正できないことです

これは、評価を実施すると必ず起きることですが、評価者ごとの判断基準はバラバラになります。

当然、評価結果はとても公平とはいえません。

これを、「制度の設計ミスだ」「評価項目の選定の仕方が悪い」など制度のせいにする方が多くいます。

あたかもシステマチックに、かつ自動的にやれば、公平で正当な評価が導き出せるシステムが存在するはずだと、信じているかのように思っているのです。

しかし、そのようなシステムはこの世の中には存在しません。

このような評価のバラツキが出るのは評価者サイドに原因があることがほとんどです。

このバラツキをなくし、公平かつ納得のいく評価を実現する方法は一つしかありません。

それは、先に説明した「評価決定会議」を繰り返し実施することです。

この「評価決定会議」を評価ごとに行なっていくしかないのです。

時間がかかり、面倒なプロセスですが、人材の育成のために必要なプロセスと考えればその重要性も納得できるはずです。

また、ここに時間と労力をかけることによってリーダーも育っていき、「評価会議」の効率もよくなり、公平差もすんなり決定するようになります。

ですから、導入当初の運用が大事になるのです。

●評価の結果が低く、賃金が下がってしまうから運用できないことです

評価基準は、“将来の理想の社員像“を実現するための育成基準なので、これまで求めていなかった内容や明らかに現状のレベルの高い内容も盛り込まれています。

そのようなレベルの基準で評価していった場合、ほとんどの社員の評価結果が低いものになってしまう場合が多いのです。

昇給や賞与に反映しようとすると、金額が下がってしまう社員が続出してしまいます。

しかし見方を変えると、現状行なっている仕事のレベルが落ちたわけではないのです。

このままでは社員のモチベーションはガタ落ちになります。

賃金に反映させられない、だから運用できないという場合です。

このような場合には、運用のルールを柔軟に対応させましょう。

例えば、評価を決定するための点数基準を緩やかにして、低かった評価結果を底上げする工夫をします。

それは、先の「評価結果一覧表」の最下部にある点数の判断基準を修正します。

具体的には、190点以上210点未満が「B」評価になるのを180点以上200点未満であれば「B」評価とするなど、評価基準をある一定期間ずらして、底上げをするために修正するのです。

または、評価基準と給与と賞与の対応する基準を従来の賃金基準と違和感ないように基準点の修正を一定期間行なうことで、解消できます。

先にも触れましたが、一度決めたルールだからと決めつけないように、うまくいかないケースが起きた場合は変更すればよいのです。

言い換えれば、最初に決めたルールを全く変更せずに、その通りに運用した事例がないとも言えます。

新しいシステムを導入した時は、思わぬ不具合が出るものです。

人事評価制度も必ず不具合が起きるモノとして導入、運用に取り組むべきです。


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